2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

大石竜子(おおとかげ)

2019年 9月 お題 石 シーグラス集むる少女青葉潮 大石竜子(おおとかげ)玉砂利を梳く大海へ 感想 海辺ででシーグラスを集める少女がいた シーグラスとは海に散らばった瓶やガラスの欠片が 波に揉まれたりして角がとれ摺りガラス状の 丸みを帯びた石のように…

宮相撲

2019年 9月 ☆ 五十路(いそじ)越え百歳までを新茶古茶 宮相撲はにわの邑に土師の初祖 感想 齢 50歳を越えている 人生100歳まで長寿の方も結構いらっしゃる現代・・・ この世を50年以上も生きたなぁ・・・と しかし、100歳まであと50年程もあると思うと・・…

沢瀉(おもだか)

2019年 9月 沢瀉の花は三弁毛利紋 鍬形の大き冑(かぶと)よ花慈姑(はなとじこ) 朧夜や良寛残す賦(かぞえうた) 感想 夏に山口県の毛利邸に見学に行った 広い敷地にお屋敷と緑の庭が広い・・・ 毛利の家紋は沢瀉であった 毛利家兄弟の絆 「三本の矢」は有…

新緑

2019年8月 お題 緑 曼荼羅に紅や緑や花蕊降る 新緑や窯変一盞宙を曳き 感想 奈良の美術館では曼荼羅が展示されていた 曼荼羅は緑や紅を散りばめた それでいて・・・古くて 落ち着いた佇まいであった 外に出れば・・・公園を 桜の花蕊が紅に染めていた 奈良の…

花蕊降る

2019年 8月 縁切神社(えんきりさん)袋小路に花蕊降る 糞ころがし寧楽に煌煌樹々の魄 良寛の文字めだかめく千金の夜 感想 京都好きの友達と京都界隈をブラブラ すると、縁切神社がありました 京都では「えんきりさん」と呼ばれ あらゆる、悪縁と縁切りが叶…

お白様

2019年 8月 洲蛤常夜灯ある古刹かな 水甘し安曇野に菰花山葵 いとけなやお白様とふ桑被ぎ 感想 住吉神社には大きな常夜灯がある 昔は浜が近くまで迫っていたに違いない 蛤も沢山撮れた昔だろう・・・ 漁の船もこの明かりを見ていた事と 昔から有名な神社がど…

羚羊

2019年 7月 お題 樹 樹木医来五色椿の株育ち 羚羊に迷路めく樹々山真白 感想 お題が「樹」である 百毫寺の「五色椿」は圧巻であるが 老齢でもあった、また、新しい若い株の 五色椿を育てる為に、 「樹木医」が来るという 老齢の樹木も 若木の樹木も 見守られ…

朧夜

2019年 7月 旧家また令和に生まむ燕来る 朧夜のブラックホール「すざく」より(天文観測衛星) 感想 町屋に続くの旧家には毎年 つばめが帰ってくる 年号が令和になり またその年に卵を孵し巣立つ燕がまた帰ってくる 町屋の旧家はもう子孫がここには戻ってこ…

獣交む

2019年 7月 春惜しむ明恵の夢を葬れず 朧の夜夢は明恵を育てけり 獣交む鳥獣戯画は絵本めき 感想 大阪で「明恵展」が開催されていた 明恵上人は高山寺を再興した人です 明恵は自分の見た夢を生涯記録し続けたそうだ「夢記」という 日記のように明恵は夢を楽…

五色椿

2019年 6月 お題 暮 窓暮れて大内塗りの雛若し 貌ひとつ暮れゆき五色椿かな 感想 お題は「暮」 たまたま・・・山口県の人と結婚して 大内塗りのお雛様を頂戴した 若い頃はブサイクなお雛様だなぁ思ったが・・・ 年々・・・ ブサカワが気に入っている あばた…

龍天に登る

2019年 6月 ★ 磴(とう)に蝶小さく聳ゆる興福寺 龍天に登る磴より緋色散り 獣糞に夢か現か瑠璃の蝶 感想 百毫寺に行った・・・長い磴を登る・・・ 頂上からは興福寺の尖がりが 街と同化して突き出ていた・・・ 手前に興福寺より大きな蝶が現れた・・・ 椿の…

ででむし

2019年 6月 ででむしや人も殻もち明や暗 花の雲一隻のたり壇ノ浦 山国の鳥より卂き蝶渡り 感想 梅雨は元気だった蝸牛も梅雨があけると 旱が来るので殻に籠って膜を張っている 生きる為には大変だ 人間もそうだ・・・ 大きなのんびりとした春の海に 船が一隻…

波の花

2019年 5月 お題 流 潮流へ 檣(マスト)一本鳥雲に ハングルの漂流船や波の花 感想 大海原に船の檣(マスト)一本が 鳥雲に飲まれるように 消えてゆく おおらかな海へ冒険へ行くように 渡り鳥もそろそろ渡りの頃だ 波の花は東北地方の海の岸壁に 洗濯物の泡…

二月尽

2019年 5月 ☆ 論争は廃炉か稼働二月尽 心平の蛙「ケルルン・・・・」被災せむ 書院床けぶるごとくに雲竜梅 感想 世論では廃炉か稼働かの論争が激しい(2018年頃から) どちらを立ててもどちらも立たない・・・ 2023年の現在も猶・・・論争される・・・ けど…

春涛

2019年 5月(令和元年) 如月や辺野古埋め立てさせませぬ 春涛や産土神のザンよ来よ (ザン=ジュゴンの沖縄方言) 震災をわすれさせなそ水仙花 (美智子妃殿下が被災者に戴いたブーケは水仙) 感想 2019年 5月に平成から年号が令和に変わった・・・ その年、…

小豆粥

2019年 4月 ★ 木枯しや眺むる牛の糞(まり)の湯気 :imag 雨季ながら噴火ながらの月惑ひ (アナッククラカタウ再び噴火) 人生の底ひに気づき小豆粥 感想 旅先で牛の糞と出逢ったのだろう 木枯しが吹いていたなか ぼんやりと・・・その 糞の湯気のあたたかそ…

日向ぼこ

2019年 4月 阪神忌ボランティアののち父の忌に 我も汝もソファーに古び日向ぼこ 汝の背中をながし富士山雪被ぎ 感想 阪神大震災の一月が来る度に(1995年1月17日) 定年してすぐの父が阪神大震災のボランティアに行って 帰ってきてすぐに、脳詮塞で倒れた 運…

鍋焼 

2019年 2月 ★ 秋愁や中金堂の朱殿濃き 新涼や茶室に錆びし釘隠し 鍋焼やいつもの店の待ち合はせ 感想 秋、奈良の中金堂が再建された・・・ 奈良公園の広く寂びた風情に・・・ 目を奪うような新しい 朱色の中金堂が バーンと現われた・・・ 京都で茶会をされ…

小六月

2019年 2月 スワン来てマリモは眠る湖の泥 ケータイの繋ぐ人間冬の黙 コラム読みエッセーを書く小六月 感想 屈斜路湖や阿寒湖を思い浮かべた・・・ そろそろ北海道にも白鳥が来る季節 小さなマリモ、大きなマリモも 湖の底で飛来を歓迎しているようだ 「白鳥…

お風入れ

2019年 1月 お風入れ糞ころがしは奮闘中 九体寺へ魄飛ぶ如き吾亦紅 木犀の蠱惑の中の城下町 感想 奈良公園はやはり・・・ フンコロガシも沢山生息している 今は、フンコロガシ博物館もあるらしい・・・ 正倉院のお風入れの頃も フンコロガシは忙しく 後ろ脚…

柚餅子

2019年 1月 帯枕高き背筋やゐの子餅 空つ風柚餅子のやうな即身仏 中金堂秋天支ふ大欅 感想 秋になった・・・ お茶のお正月の炉開きもある ゐの子餅がふるまわれ 美味しいお茶をいただく・・・ 秋袷の帯も高くまた心新たな季節に突入・・・ 秋に柚餅子づくり…

仏桑花

2019年 現代俳句全国大会投句 水禍跡海碧ければ掌を合はす 仏桑花海の碧さに慰霊塔 美少年棺に眠り水禍かな 感想 インドネシアに大洪水があった・・・過去 (スラウェシ島) 後日研究者がこの水禍の後、研究防災にあたった・・・ 私もこの海に想いを馳せた …

曼珠沙華

2018 年 12月 魍魎や陵を灯して曼珠沙華 萩懸かる眉間のあたり百毫寺 ピント合ふ翡翠色の眼虫一点 感想 地縛霊のようなものが 陵を灯している 曼珠沙華であった・・・ 萩が茂る百毫寺の磴を登る 萩が顏の眉間の辺りに懸かる 萩に親しみがわく 陵に翠色の翡翠…

思草

2018年 12月 磴道へ母登りこよ思草(南蛮煙管の別名) 母追ひし日は遠き日の萩の磴 年月よ南蛮煙管咲き揃ふ 爽籟や兜太の微笑ピカソめく 感想 奈良百毫寺に行った 五色椿で有名な寺で奈良を一望できる 上までかなりの磴道となる 母は小さな脳梗塞を起こし、…

台風過

2018年 11月 煮え湯のみ生きつつ散華草の絮 台風過幽けき青さ快々と 椰子の実のたわわ子象は土塊に (ボルネオ象絶滅危惧種に) 感想 世の中に生きていると・・・ 妬みか恨みか今までの災いか 煮え湯を飲まされる時がある でも、それでも生活の為、自分の為…

茶摘唄

2018年 10月 ★ 諷経(ふうぎん)の音の中から茶摘唄 雲水の龍の敷石ゆく旱 「普茶料理あります」掲示今年竹 感想 宇治黄檗山万福寺にて 隠元和尚の伝えたお経は「唐」訛り 茶摘唄の投節やら味木屋節やら 歌う中にもきっと聞こえていたのだろう 昔から・・・…

蝉時雨

2018年 10月 初蝉や陵に亀ひよこりと 曼荼羅を眼間(まなかい)に寧楽蝉時雨 炎帝にわれんとばかり鬼瓦 感想 仁徳天皇陵の周囲を歩くのが健康法だった 朝に初蝉の声が聞こえた 陵には亀がひょっこりと首を出して いて、私と同じように蝉の声を聴いているよう…

みちをしえ

2018年 9月 ★ みちをしえ青き棚田の風を曳き 青嵐しなの鉄道揺るごと 苦瓜の憧れている蠱惑かな 感想 棚田を歩いていると かみきりむしのような みちをしえが道を誘う まるで、棚田の風を曳くように しなの鉄道に乗る 青嵐の中、竹林などが揺れている だんだ…

夏千鳥

2018年 9月 兜太呼ぶ声や産土飛ぶ螢 敷石の龍めく蛇腹夏千鳥 行飯(さば)台の旱開梛(かいぱん)痕一つ (黄檗山寺万福寺) 感想 俳人兜太を慕う声が初盆に響くよう 秩父の山に飛ぶ螢はもしや・・・ 夏・黄檗山寺万福寺に行った 旱で暑い・・・ 門から、敷…

螢火

2018年 8月 ☆☆☆ 螢火を連れて兜太は産土へ 尊厳死認めぬ現世水中花 鼓草白きを好み少年期 感想 2018年・・・俳人金子兜太は天に召された 狼に螢が一つついていた・・・という名句が好きだ まるで・・・兜太狼が螢火をつけ産土へと還っていったようだ・…