2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧
2017年 6月 掲載 ☆ 鼓星響く沓音鐘の音 赫々と駆けし韃靼春満月 修二会果つ頬に大和の風新し 感想 奈良のお水取りに母と行った・・・ 鼓星(つづみぼし)は オリオン座の事だ 冬のこの頃頭上に輝く・・・ 二月堂のお坊様の沓音や 鐘のキンコンキンコンという…
2017年 6月 掲載 芽吹き今大き焔になりたるよ 春驟雨ギターにもある水の音 宙伝ひ河内一寸陽(ひ)に咲(わら)ふ 感想 春の芽吹きの新芽は焔の形をしている・・・ それがひとつひとつ一斉に大きくなり・・・ 木ごと焔の如く容に化したように見えた・・・ 大…
2017年 5月 掲載 ☆ むつのはな睫毛の長き寧楽の鹿 火の奥に鬼の来ている追儺かな 悩み事一つ菫の聞き上手 感想 奈良の春には生まれたてのバンビが増える しっかり立って、ぴょんぴょん そのひたむきな瞳に 長い睫毛がそよぐ・・・ じきにおじぎを覚えるよう…
2017年 5月 掲載 宗易忌香を手送り一座立つ 湖開く沈丁の香のうすむらさき 土間厨蛤の水勢ひて 感想 宗易忌の釜開きに伺い 香が回ってきた。暖かさと香りで ほっこり落ち着いてきた 亭主の心が伝わった・・・ 冬の湖を想像したその辺りで 沈丁が咲き出してお…
2017年 4月 ☆ 木霊も仏も気配冬の寧楽 冬木の芽産毛の気迫あらまほし 星曼荼羅蛇に女の貌寒し 感想 冬の寧楽(奈良)の公園を歩く その公園の鹿を見たり木を見たり仏を見たり 奈良公園の木霊も仏も霊験を感じる・・・ フト枯れ木を見ると、産毛を生やした 新…
2017年 3月 掲載 杉玉の一つ青きよ三輪山に雁 胎蔵界曼荼羅仏図冬麗 東大寺霞み神木造仏所 感想 桜井は三輪の少林寺に行った 酒処でもあり、お店の前には 新旧の杉玉が青々と飾られていた・・・ 古い杉玉と一緒に・・・ 杉玉を季語とした 少林寺の曼荼羅展を…
2017年 4月 掲載 曼荼羅に子宮の世界冬うらら 破蓮は不死身たるやも曼荼羅界 真二つに裂けし木の元注連飾 感想 少林寺に展示してあった曼荼羅・・・ 碁盤の目状に沢山の曼荼羅があり世界を現しているという 解説には子宮の世界もあった 赤黒い古びた布の歴史…
2017年 2月 ☆ 曇天へ透くる山茶花少林寺 生みの苦へ冴ゆる眼居(まなかい)石仏 温柔敦厚観世音月冴ゆる 感想 桜井は少林寺を訪ねた 曇天の日であったので山茶花の白い花が 少林寺はここだよ!と教えてくれた・・・ 大きな朱色ピンクの石仏が迎えてくれた 眼…
2017年 2月 掲載 散れる中今日初咲の野水仙 千両や宙青みゆき三輪山(みわ)の浮き 聖観音背丈皇帝ダリア程 感想 山の中で枯葉の散る中、 初咲きの野水仙を発見!! もう、春が近いと嬉しくなった・・・ 「千両の三輪山(みわ)押し上げて宙青み」 と言い替…
2017年 1月 掲載 ☆ 木の実落つ山は大きな籠なりし 冬の空牧羊犬のオッドアイ 周防の海置き去りにされ蜜柑山 感想 秋の山の栗、ドングリ、きのこ、アケビ 豊かな秋の実りが籠一杯の山盛り・・・に見えて来た・・・ 北海道や長野の牧場の 牧羊犬の快活に駆ける…
2017年 (平成29年)1月 掲載 夫と見む汐の平らか月の道 山路より緋毛氈めき落椿 野掛まで雨明るうす石蕗の花 感想 周防灘の旅館の露天風呂からは 月が見えた…明るい光の道が 静かだった・・・ 萩の椿の名所に行った 朝に誰も踏まれていない道に 赤い落椿は…
2016年 12月 掲載 ☆ 薄紅葉バイクの増ゆる湖畔かな 微酔の宵闇夫の袖しかと セレナーデ秋の初風うけてをり 感想 長野県の秋はツーリングのバイクが増える・・・ 湖のほとりで休憩している若者が どんどんと到着しバイクの音も物々しくなる 秋の夜は外で食事…
2016年 12月掲載 ななふしの闊歩を見たり枯るる中 村々を繋ぐ陸稲(おかぼ)や風千里 魚攫ふ鳥は土色放生会 葉月潮足裏熱きよ熔岩(らば)の島 感想 動く枝?か?とおもえば・・・ 闊歩しているナナフシであった・・・ 擬態を使って大胆に枯野原を移動してい…
2016年 11月 掲載☆ 兵馬俑坑返り咲く如白鳥は 秋桜や首を探せる雑技俑 長身に秋思を搦め文芸俑 名古屋句会に参加 帰り花井戸より駒の兵馬俑 感想 兵馬俑展が大阪中の島の美術館でやっていた 中国の歴史を見るべく、見学に・・・ なんとスケールの大きな事!…
2016年 11月 掲載 ゆるり来て墓守と云ふ黒揚羽 東大寺遥けき門へ百日紅 桃の尻己が重さに褸れをり 感想 お盆だったのか、信貴山の麓の 父のお墓に参ると自然豊かな山から 絽を纏ったような黒揚羽が近づいてきた 父の魄が近くあるようだった・・・ 奈良に時々…
2016年 10月 掲載☆ ムックリや背鰭を揺らすオショロコマ 翳翳と吉野川(よしの)の鮎の灰緑 失敗は黄金の明日夕焼くる 感想 オショロコマはエゾイワナと似ている川魚 ムクックリはアイヌの楽器 北海道在住の頃、観光地で見た・・・ ムックリはUFOが飛んで来…
2016年 同人に入会 10月 街の蝉つかみどころの少なき世 秋茜ふゆ吉野川(よしの)の岸を走りたる 遠雷や生れたての宙瑠璃広げ 感想 世の中がどんどん変わる物騒な事件が多い 神社の蝉が生まれ変わっているもやはり 蝉の世も昔とはちがっているのだろうかとフ…
2016年 9月 掲載 玉虫来寧楽に白寿の媼棲み 臙脂錆ぶ仁王像古り葛若葉 種離れよき桃の実や病み癒ゆる 感想 100歳真近の奈良の祖母 幼少の頃はよく泊まったその夜 明かりにつられて、綺麗な玉虫が家に入ってきた 可愛そうだが、捕まえて、当時流行っていた昆…
2016年 8月 掲載 水瓶は女性象(かたど)り夏来る 草原や肺の底まで白荊棘(うばら) 鈴虫を販(ひさ)くおもちやの売り場なり 感想 観音様の流線形の体形と 手に持たれた水瓶が なんとも女性を象った容に見えた・・・ 初夏、白い野薔薇が一面に可憐な小さな…
2016年 7月 掲載 春惜しむ腑抜けの風が山の底 行く春や瞼に滲み夢二の画 蛇出る小さき古墳たたまるる 感想 春が終わる頃のほっとしたような暖かい生ぬるい風が 最後に谷底で鯔凝ってまっているように感じた 夢二展が大阪であった 夢二の美人画はもの憂げな春…
2016年 6月 掲載 春潮は煌煌しきや鯨墓 碧光り漁村に鮑吊る魔除け 御柱祭宙に命を捧ぐごと 感想 この年、金子みすゞの故郷 長門で俳句会が開催された その時に長門の海の鯨墓を見学した・・ 子供の鯨墓もあり・・・ 鯨と共に生きていた村人を感じた 海が綺麗…
2016年 5月 掲載 コバルトのユーカラ織に春を馳す シリエクト氷河犇めき春の声 (シリエクト=地の果) 碧落や切絵ふちどり枯木山 感想 春がちかづいてきた。北海道に在住の頃はよく ドライブ旅行をした。アイヌの暮らしも見た お土産に、私は木彫りのペンダ…
2016年 4月 掲載 冬至晴穢れ転ずる神獣鏡 一木が岳に向き合ふ冬夕焼け 陽炎やモネの眼に水緩み 感想 奈良の卑弥呼の墓の棺には神獣鏡が沢山埋葬されていたと聞く・・・ 卑弥呼の九州説、奈良説はあるが 神獣鏡は中国から貢物とされてもたらされたが 自身の姿…
2016年 3月 掲載 冬銀河荒野を抜けし夢一つ 大晦日拓く言葉やありがたう 北海の黝み深きよ鯨来る 感想 これは、2015年国際宇宙ステーション船長の若田光一船長の 日本宇宙飛行士が任務を終え、地上へと無事帰還した 地球の空気圏から荒野に無事着陸 降り立っ…
2016年 2月 掲載 畳屋の匂ふ寺町猫の恋 雪風巻(しま)き丹頂鶴(たんちょう)の声更真白 洗はれし空の気迫や寒椿 感想 堺に越して来た。千利休さんが禅の修行をした 南宗寺が近くにあり、その一帯は寺町でお寺が道筋、道筋にある 必然に、お菓子屋、花屋、…
2016年 (平成28年) 1月 掲載 遠州灘波がでつぱり大満月 諦むる身軽さ少し蓼の花 諦めず満を持すなり木守柿 感想 2016年投句を初めてまる一年経過した・・・ 壁にぶち当たっている様子?なのか 静岡県に在住の頃、御前崎の海は波の激しさに 夏はサーファー…
2015年 12月 名古屋句会にて 八千草や好きは心の支えなり 感想 遠出の名古屋句会に初めて参加した・・・ 50名程参加者の句を主宰が全員評してくださるのには驚いた が、嬉しくもありました・・・ おすすめ インドネシア ジャカルタ ジェイピープル~インド…
2015年 11月 掲載 時雨るるや窯の赤松焔立ち 青蜜柑おさがり多き窯の守 窯焚きの夜を通せる夏の果て 感想 長野の戸隠で穴窯を焚いた 夏の終わりでも、戸隠の夜は寒い・・・ 赤松の薪は高温の窯焚きに必需品・・・よく燃える 赤松を入れると焔がゴウゴウと勢…
2015年 11月 掲載 現生は必然と知り原爆忌 落蝉やまだ新しき生れし洞 かぼちゃ咲き芯の乳房の輝きぬ 感想 2023年5月G7サミットが広島・宮島で開催される 戦争の顛末・・・を世界へ どの時代に生まれて生きるも きっと宇宙の必然なのだろうと思う 今の現生は…
2015年 10月 掲載 斑鳩の里山に塔良夜かな 月まつる面輪明るき廬舎那仏 秘密基地ふるさと白き曼珠沙華 感想 秋の奈良は何処へいっても風情がある 奈良市からの道で法隆寺、法起寺、法輪寺が見える道がある 満月の夜は明るくてとても綺麗な景色だ・・・ 母…