2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

雪渓

2018年 8月 閃きし句へ呪文めく目借時 夕映の綺羅雪渓を切裂けり 青霧の夜更けの師弟樹々の雨 感想 春の頃・・・ふと句が閃いた 考えたのではなく閃いたので それを忘れてはならない!!と頭は頑張るのだが 眠くて眠くて・・・その句が呪文のように 私を眠り…

春愁

2018年 7月 ☆ 正解の何処にもなくて紫雲英咲く 惜春の供花一枝と「夢」と文 春愁の美少年とは寧楽の阿修羅 感想 紫雲英畑に寝っ転がれた昔 今はもう住宅地になってしまい 悩んでも吹っ切れる場所が無くなった・・・ 遠くの紫雲英畑をうらめしがりながら・・…

たんぽこ (たんぽぽ)

2018年 7月 聳き物海へてふてふ旗めきぬ 燕来る家曳かれたる駅舎かな (浜寺) たんぽこの茎笛の子の合唱隊 感想 あさぎまだらの生態を見た 渡りをする蝶々・・・ 沖縄や山口県でアサギマダラを見た 地域でも保護をしている 海に翅の鱗粉を使ってうまく浮き…

三椏(みつまた)

2018年 6月 ★ 「風神雷神図」俵屋宗達 春嵐足湯に風神雷神図 梅東風の中母と食ぶ辛味蕎麦 国宝 尾形光琳「紅白梅図屏風」江戸時代 咲き合うて毬になりたき三椏よ 国宝 野々村仁清 「色絵藤花紋茶壺」江戸時代 感想 母と熱海のMOA美術館に行った 立派な美術館…

西行忌

2018年 6月 大峰に花吹き上ぐる息遣い 西行忌嘗ての今日に逢ひにゆく 亡き人の魄は花肩に落つ 感想 吉野に一人で近鉄電車で天王寺から向かった・・・ 丁度、俳人 大峰あきらさんが亡くなった年であった 桜の花を見ずして、亡くなられたが その年の吉野の桜の…

芽ぐみ

2018年 5月 ★ 月蝕に血潮の通ひ芽ぐみどち 火の粉打ち喧嘩めきたる鬼追式 濡れそぼつ石畳みより追儺式(ついな)の炎(ひ) 感想 春の大きな月を見ていると・・・ 卵を光に透かした黄身のように感じた・・・ 血が通った卵の黄身・・・・のような月 生き物の…

囀り (さえず)

2018年 5月 キュンキュンと星詰まり来し鬼追式 雲よりも白き飛行機立春に 囀りの囀り蒼き谷底へ 感想 鬼追式を地元法隆寺に見た 震えあがる程寒い夜・・・ 星が凍ってキュンキュンとしているよう 真っ赤な炎を持った鬼が現れた・・・ 立春になり春めいた空 …

いかのぼり(凧)

2018年 4月 ★ 雨音や初心にかえる初句会 一人居の水仙の香の俄かなり 鬼道なり闘ふ大きいかのぼり 感想 初句会は雨だった・・・ でも、雨というのは心落ち着く日でもある 皆とお正月の久しぶりの笑顔に出合えて興奮していたが 句会の始まりとともに、静粛な…

冬薔薇(ふゆそうび)

2018年 4月 岡持の届き蒸鮨宴納め 口惜しく見栄切る象(かたち)百舌鳥の贄(にえ) 夕映の一縷吸い込む冬薔薇 感想 吾一族の父方のお正月は 持ちよりのお料理の締めに 鮨屋の蒸鮨を戴くのが恒例 その蒸鮨が一番の楽しみ 蛸やらが入った蒸鮨がごちそう 鮨屋…

竈猫

2018年 3月 どんぐりは秋篠の土犇きて 菩提樹の葉と実臍の緒の象(かたち) 竈猫世の温冷を知りてより 感想 秋篠寺に行く・・・ ドングリがどこかしこにも落ちていて 踏んでしまう・・・ついつい 鹿が歓ぶ秋篠の野である 菩提樹の実をはじめてみた・・・ 葉…

寒落暉

2018年 3月 篳篥のサックスめきし松囃子 佳日には佳日の渚寒落暉 吾誓ひ眼交ひにあり春の星 感想 篳篥は古来の日本の響きが濃い けれど、西洋のサックスの音色にも似た 哀愁があらわされているなぁ・・・と 松囃子を聞きながら思った 瀬戸内の母が88歳を迎え…

鶴唳(かくれい)

2018年 2月 ★ 鶴唳の熱きに恃む鶴の世は チロチロと蛇めける口氷柱かな 巫女鈴の音やも風の花八手 感想 北海道に幼少の頃に住んでいた 丹頂鶴を見に行こうと家族で鉄道に乗った・・・ 寒くて吹雪いて外は真っ白だったけれど 鶴唳(かくれい)が響き、紅い頭…

六つの花野

2018年 2月 霧別つ尾瀬の天地を水鏡 雪曳かる幕の尾瀬より暫し黙 湿原の六つの花野となりにけり 感想 尾瀬の風景をテレビで見た 尾瀬と云えば水芭蕉だが、 秋にもなると寂しい霧模様 湿原の湖には霧を隔てて美しい野山が瓜二つ・・・ 尾瀬に雪が降ってきた …

孑孑(ぼうふら)

2018年 1月 掲載 だんじりの髪光たつ美少年 魂めきし彼岸へ秋の孑孑か 文明に逆らふやうに日記買ふ 感想 大阪岸和田のだんじりは凄まじい祭りだそうだ 隣町だった頃はだんじりに近くなると 村の人々は祭りが一番の優先順位となるようだ 丁度お稽古に来ていた…

冬雲

2018年 1月 掲載 ドローンを放つ棚田へ天高し おもちやめく冬雲に入るグライダー 芋堀の畝へ園児の黄の帽子 感想 バリ島が好きでよく行った 棚田の島とも思う 棚田の見えるレストランで 食事をし 棚田を見ながらホテルへ向かう 懐かしい気持ちになる その広…

青梅

2018年 茶道雑誌 バケツ打つ音けたたまし雨蛙 青梅の落つ海鳴りの中に落つ 梅雨明や宇治諷経は唐訛り 感想 梅雨たけなわ紫陽花も咲いている 庭の物干の下にある金物のバケツが けたたましい音をたてていた まるで、太鼓のようで 雨蛙はそれに合わせて 歌った…

濃紫陽花

2017年 茶道雑誌 曜変の彩とも違ふ濃紫陽花 難波津の赫き夕日や晶子の忌 攻め焚きの焔立てゐる冬銀河 感想 奈良博物館で窯変天目の展示会があった 大層な人が来ていた 窯変天目を拝見するのに長蛇の列であった 窯変には宇宙の姿があった 時は、紫陽花の頃で …

掛柳 

2016年 茶道雑誌 老ゆる手にたたみて秋の袷かな 掛柳老いの言祝ぎ笑まひつつ 沙羅落下まだ息づいて苔の上 感想 秋になり炉開きも近くなる 袷の着物の整理が楽しい いくつになっても 女子は女子・・・ 木漏れ日の素顔にあたり秋袷 桂信子 という句もあったな…

雨曇

2015年 茶道雑誌にて 丁寧に生きし窶れの風炉の主 藁焼きの匂ひのしめり雁渡る 葛切りの京にやすらふ雨曇 障子貼る水屋明るき声通り 感想 お茶の先生はいつも丁寧で心細かく心を砕いて下さる 藁灰を敷き、窶れ釜で湯を沸かす 11月には善哉を皆でいただき 茶…

雪原

2017年 新年会句会にて 的皪や雪原の果て仄か海 冬山に背中を残して直滑降 感想 長野の戸隠スキー場の頂上付近には快晴の時に 遥か日本海が見えるスポットがある 雪山の白い雪の先に小さな海の青が幽かに見える 的皪(てきれき)とは、あざやかに白く輝くさ…

仏手柑(ぶっしゅかん)

2016年 8月 同人研修会で・・・ 仏手柑(ぶっしゅかん)棘の四神現はるる 半化粧鏡中の貌決めかねて 青梅や撫で牛の頭の平ら 感想 俳句結社に入っていた頃に京都で研修会があった 京都界隈の實葛の花の咲く水連の綺麗なお寺へ吟行に歩いた そのお寺に仏手柑…

星河

2017年 10月 掲載 モーテルへ星河の荒野無限めく 春の風青波太鼓が宙はじく 感想 学生の夏の旅行で テルマとルイーズの映画のような アメリカ一周旅行をレンタカーで巡った グランドキャニオンの辺りの国立公園の モーテルへ向かって走るあの時の車窓から…

榲桲

2017年 12月 掲載 大根干し魔法を掛ける微風かな 萩揺るる御堂におはす伎芸天 愛に満ち榲桲の実のゆかしかり 感想 大根を干している畑 暖簾のように続く 朝晩と冷たい空気になってきた 伎芸天をお参りに奈良へ お寺には暖簾のような 萩が手招きをしてくれて…

流星

2017年 12月 掲載 葉の裏に塔の秋なり暮れ早し ひとひらの雲巡礼の秋新た 漆黒の海へ流星煌と落つ 感想 秋の薬師寺に行った・・・ 駐車場には修学旅行生のバスが並ぶ 柿の木の葉裏に薬師寺の陰が写っていた 秋の夕暮れのつるべ落とし・・・ 薬師寺の東塔と西…

白蓮

2017年 11月 掲載☆ www.youtube.com かなかなや「夏の日の恋」聴くやうな 秋篠寺初秋の蚊に額刺され 地獄とも思う現世白蓮 感想 軽井沢でかなかなの声を聴いた・・・ 「夏の日の恋」の音楽が頭の中で流れていた・・・ 哀しいような優しいような心地よい 軽井…

白桔梗

2017年 11月掲載 鹿の糞(まり)寧楽の旱に香のごと 白桔梗弾けて空へ蕊の白 現世に掛ける天網秋桜 感想 奈良の鹿の糞(まり)は 糞の形が練香の形に似ていて なにか香しい匂いを放っているのかもしれないと 変な勘違いをしてみたくなった・・・ 「田舎の香…

花漆

2017年 8月 掲載 微睡に白狼が風薔薇の園 小さき事積む事大事花漆 日めくりはすでに変はれり夏椿 感想 微睡(まどろみ)に白い狼が現れた 薔薇園の一角に 夢のような美しい白いシベリアンハスキー犬が・・・ 花漆はとても小さい花が集まっている この花の幹…

栗花落 (ついり)

2017年 8月 掲載 夕方の土の匂へる栗花落(ついり)かな 緑陰や兵庫土産の「御座候」 漂白をすすぐガラス器初夏来 彷彿とヒッチコックの春の鳶 感想 栗花落(ついり)は岐阜辺りの地貌季語だったかと 梅雨前頃は栗の花が一斉に咲き匂う・・・ その花が一斉に…

花の夜

2017年 7月 掲載 ☆ 強がりを湖に沈めし花の夜 雉に会ふ霊園区画販かれし 遠雷よ汝はいくつもの星を曳き 感想 悔しい事が多々ある日々・・・ 湖を眺めながら心を静かに保つ 湖にゆっくりと沈める想い こんなに美しい桜の夜だからこそ・・・ 春の彼岸に父の信…

花かりん

2017年 7月 掲載 水美(うま)き戸隠の宙花かりん コンチキチン女囃子や若みどり 白寿過ぎ余生の果てや養花天 感想 戸隠に行く道にかりんの花が咲いていた… 美しい花、そして戸隠を望むと美しい春の空 美しい水で育つかりんは秋には黄色い 歪な形の実をつけ…